平成26年度に内閣府主催、東京都災害ボランティアセンター アクションプラン推進会議共催で実施した「首都直下地震時の災害ボランティア活動連携訓練」を次につなげ、さらに首都直下地震に備えたネットワークをより強めることを目的に訓練を実施した。
1 日 時 平成28年2月29日(月)9:30〜17:00
2 会 場 東京都消費生活総合センター、
東京ボランティア・市民活動センター会議室(見学プログラム)
※消費生活総合センターは、東京都生活文化局の協力により、
会場の確保を行った。
3 参加者 今回の訓練へは2つの参加方法を設けた。
①プレイヤー参加 38人(都内26人、都外12人) ※うち、東京都災害VCとして7団体9人
都内外の被災者支援に関わるNPO・NGO職員や民間団体職員、関東ブロック社会福祉協議会職員、城東・城北・城西ブロック社会福祉協議会・ボランティアセンター職員が参加した。
②見学参加 69人
訓練を見学する参加者として、都内区市町村行政職員、企業関係者、都内の被災者支援に関わるNPO・NGO職員や民間団体職員、都内社会福祉協議会・ボランティアセンター職員、大学ボランティアセンター職員などが参加した。
4 主 催 東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議
5 企画・運営 訓練ワーキング・グループ(ワーキングメンバーは下記の通り)
減災と男女共同参画研修推進センター 浅野幸子/認定NPO法人難民支援協会 石井宏明/スープの会 後藤浩二/台東区社会福祉協議会台東ボランティアセンター(城北ブロック) 高橋智明/株式会社ダイナックス都市環境研究所 津賀高幸/公益財団法人えどがわボランティアセンター(城東ブロック) 檜山登/豊島区民社会福祉協議会豊島ボランティアセンター(城西ブロック) 日渡典子/NPO法人ADRA Japan 渡辺日出夫
6 協 力 株式会社ゼンリン、東京大学生産技術研究所 加藤孝明研究室
7 内 容
首都直下地震における避難生活を一つのテーマとし、避難生活上の課題やそれに対する支援活動、また、東京都域でどのような譲歩の把握・調整が必要になるのか訓練を通して検討した。
(1)プログラム1
プログラム1では、大きく2つの話題提供があった。一つ目が東京都災害ボランティアセンター アクションプラン推進会議についての報告。これは推進会議事務局が報告を行った。
二つ目が首都直下地震における被害想定について。被害想定は、東京大学生産技術研究所 准教授 加藤孝明氏にご登壇いただき、被害想定の考え方から首都直下地震の特徴に至るまで詳細な報告を頂いた。延焼運命共同体の課題や圧倒的な数の発生が予想される避難者の課題などを伺った。
(2)プログラム2
プログラム2では、発災直後から1か月までの状況を参加者同士で共有することを
目的に実施。参加者に当日までに「事前準備シート」を送付し、
訓練当日は事前準備シートをグループ内で共有した。
グループは都内社協・ボランティアセンター、NPO・NGO、都外支援団体が分かれる形で
設定し、さまざまな団体の災害時の動きを共有する場とした。
(3)プログラム3
プログラム3からは城東ブロック、城北ブロック、城西ブロック、都外1、都外2、東京都災害ボランティアセンターの6つのグループに分かれ、下記3つのワークと模擬情報共有会議を実施した。
【ワーク①】ワーク①では、首都直下地震1か月後のシナリオを読み込み「シナリオに書かれていない課題」を出しあう訓練とした。避難者の生活状況やニーズについてのイメージを膨らませた。
【ワーク②】ワーク②では防災ゲーム「クロスロード」を参考に作成したワークショップ「+ONE(プラスワン)」を実施した。ここでも、ワーク①につづいて避難生活のイメージを膨らませるとともに、避難生活上の課題から広域で対応する支援方法を検討した。
【ワーク③】ワーク③では1か月後の避難生活において、各団体が実施できる支援プログラムの検討を行った。都内団体は支援プログラムの検討と今後、避難生活で新たに発生すると思われる課題について、都外団体は支援先地域名と支援プログラムを検討した。
【情報共有会議】各グループから2人に参加してもらい、模擬的に情報共有会議を開催した。東京都災害VCが進行、各グループの状況報告とともに城東・城北・城西ブロック以外の城南・中央ブロック、多摩地区の被害情報・支援情報の共有を行った。また、各地域で出された各種テーマの課題(例えば、要援護者やペットの問題)について、東京都災害ボランティアセンターと地域でどのように役割分担を行っていくか模擬会議を通して検討を行った。
(4)見学プログラム
見学者プログラムはオープンドア形式で、見学者はプレイヤーが実施する訓練内容を
見るか、下記の講義・意見交換に参加するか自由に選べる方式とした。
◆見学プログラムにおける講義・意見交換の内容
1)災害時のNPO・NGOの活動について(講義20分)
2)過去の災害時における行政とNPO・NGOの連携事例(講義20分)
3)大規模災害時の広域連携について(講義30分)
4)過去の災害時における企業とNPO・NGOの連携事例(講義20分)
5)見学者意見交換タイム(意見交換40分)
8 成果と課題
(1)Keep=良かった点、継続する点
・昨年度、参加がなかった区市町村行政の参加が多く見られたことが良かった。
・プログラム2では、事前課題があったことで、区の概要等を調べ直すことができるなど参加者が前もって考えてから訓練に参加することができた。
・見学プログラムについては、参加者が訓練全体を自由に見ることのできるオープンドア形式が良かったと。講義の時間が20分という設定も出入りしやすく良かった。
・東京都災害ボランティアセンターの情報共有会議では、区市町村ボランティアセンターやNPO・NGO等が東京都域のセンター機能や役割について、考えることができた。
・訓練全体を通して、ブロック域を設定したことにより、参加者がブロックごとに考える場につながり、都外の方からのアドバイスで検討を深めることができた。また、地域、都外とが発災時の対応を具体的に考えられる機会になった。
・訓練の企画検討にあたっては、社協や行政、NPOやNGOなどのさまざまな団体によるワーキング・グループを計7回実施でき、さまざまな視点で検討を重ねることできた。
(2)Problem=課題点、見直すべき点
・訓練全体の時間配分について全体的に時間が足りず、深く検討することができない場面も見られた。
・訓練への参加者については、NPO・NGOと企業の参加者が少なかった。
・一部、ボランティアセンターへのNPO・NGOの関わり方が、災害ボランティアセンターの運営支援という立場となり、NPO・NGOとしての意見を出す場にならなかった場面が見られた。ワークショップの中での各団体の立ち位置をはっきりさせるべきだった。
・東京都災害VCの情報共有会議では、東京都災害VCのシマで行った意見交換の内容をうまく伝えることができなかった。また、区市町村VCやNPO・NGO等に対して、都域全体の状況を伝えることや今後の見通し、発生する課題などを伝えることができなかった。東京都災害VCの幹事団体の中でも情報共有会議の意味や位置付けについてしっかりと共有できていなかった。
・東京都災害VCで取り扱う情報量が多いので、訓練を行う際は具体的に手を動かせる人をつけて情報を整理しないと対応が難しいことが分かった。
(3)Try=改善点、新しく取り組めると良い点
・訓練に評価者を配置したことについては良かったが、評価者にどういったポイントで評価してもらいたいのかを伝えきれていなかったので、次回からは打ち合わせ等をしっかり設ける。
・訓練のワーク中に重要な議論がされていたので、ワークの記録をしっかり取れるようにし、その内容を踏まえ、東京都災害ボランティアセンターの機能に反映させたり、次の訓練に活かしていくことが必要。
・東京都災害VCの情報共有会議は、会議に向けての意見交換を行う時間をしっかりと設ける。
・見学者プログラムについては、ツアー的に回るプログラムを作っても良かったかもしれない。
・また、見学者プログラムでは、プレイヤーの訓練を中断してでも見学者に訓練の状況を説明をする機会があっても良かったかもしれない。また、見学者とプレイヤーの意見交換の場を設けることも検討してはどうか。